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熊本県「盛土規制法の運用の手引き」公開について

はじめに

熊本県は2025年3月、「盛土規制法に関する運用の手引き(案)」を公開しました。この手引きでは、規制区域の指定、許可申請の基準、罰則規定など、実務に役立つ情報がまとめられています。本記事では、手引きの内容を整理し、不動産・開発許可実務者向けに重要なポイントを解説します。

手引きの概要

手引きの目的

熊本県内での盛土工事や造成を適正に管理し、災害を未然に防ぐことを目的としています。これにより、無許可の危険な盛土が行われることを防ぎ、地域の安全を確保します。

対象者

以下の業務に関わる方は、この手引きを活用してください。

  • 不動産開発業者
  • 宅地造成業者
  • 建設業者
  • 農地転用を伴う土地所有者
  • 地方自治体の開発許可担当者

熊本県公式ページ

手引きの詳細は、熊本県の公式ページにて公開されています。
熊本県「盛土規制法の運用について」

盛土規制法の適用範囲

規制区域の種類

盛土規制法では、危険な盛土が行われる可能性があるエリアを「規制区域」として指定します。

規制区域概要
宅地造成等工事規制区域市街地や集落の近くで、盛土の崩落が人家に被害を及ぼす可能性のある区域
特定盛土等規制区域市街地や集落から離れているが、崩落した場合に大きな被害が予想される区域

熊本県内の適用状況

熊本県では、県内全域が規制区域に指定される予定です。これにより、従来対象外だった農地や森林での盛土も規制の対象となります。

許可・届出が必要なケース

許可が必要なケース

以下の条件に該当する場合、熊本県知事の許可が必要です。

規制区域許可が必要な条件
宅地造成等工事規制区域高さ1m以上の盛土、2m以上の切土、500㎡以上の造成
特定盛土等規制区域高さ2m以上の盛土、5m以上の切土、3,000㎡以上の造成

届出が必要なケース

特定盛土等規制区域内で、中規模の盛土・切土工事を行う場合は、着手30日前までに届出が必要です。

法的責任と罰則

所有者・管理者の責務

規制区域内の盛土は、新旧を問わず適切に管理する義務があります。放置や違反があった場合は、是正命令の対象となります。

違反時の罰則

違反行為罰則
無許可の盛土工事3年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
命令違反法人に対して3億円以下の罰金

実務上の注意点

申請時のポイント

許可申請を行う際は、以下の点に注意してください。

  • 計画地が規制区域に該当するか確認
  • 許可基準を満たす工事計画を作成
  • 土地所有者の同意を得る
  • 県の事前相談制度を活用する

開発許可・農地転用との関係

盛土規制法に加え、開発許可(都市計画法)や農地転用許可(農地法)など、他の法律との関係を整理する必要があります。

工事完了後の維持管理

盛土工事が完了した後も、適切な維持管理を行う責務があります。排水設備や擁壁の状態を定期的に確認し、異常があれば早急に対応することが求められます。

まとめ

盛土規制法の施行により、宅地造成や開発許可に関わるすべての人に新たな対応が求められます。まずは、手引きを確認し、自社の案件が規制の対象になるかをチェックしてください。特に、許可・届出の基準や他法令との関係を正しく理解し、必要な手続きを適切に進めることが重要です。

熊本県の公式ページに最新情報が随時更新されるため、定期的に確認することをおすすめします。

熊本県「盛土規制法の運用について」

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